アーリア人
青木健

ゾロアスター教研究者によるイラン系アーリア人に関する歴史書であり、ブッダに関する西洋人の見方を初めて知った


p6~p7
インド・ヨーロッパ語族とは言語的特徴によってくくられる集団の総称である。形質的には、現代の白色人種の祖として「金髪・碧眼・長身・細面」だったと考えられているものの、これらはしばしば混血によって変化する特質なので、この面から確実なことは言えない。彼らは前3000年紀には一体性のある集団として中央アジアで牧畜生活を営んでいたとみられるが、その中からまず西方のヨーロッパへ向かう集団が分岐した。この時に中央アジアに残った集団の方を「アーリア人」と称し、

本書が主に扱う対象はより広範囲に分布しているイラン系アーリア人である

p12~p13
避けて通れないのがナチスドイツである

主体「インド・イラン人」→「ドイツ人」と大幅に変更して政治的スローガンとしたものである

p232
1935年には
国名を「ペルシャ王国」から「アーリア民族の王国」を意味する「イラン王国」に変更し、ドイツから多数の技術者を招いて、近代化に専念した

p237
インド系アーリア人が保持していた宗教讃歌を上述のように「ヴェーダ」と呼ぶ。その言語は、ゾロアスター教の聖典「アヴェスター」の言語と類似し、相違は方言程度しかないとされる。また、ヴェーダの宗教とゾロアスター教には内容的にも対象可能な神格が多く見いだされ、前1500年頃の状況を取り出せば、イラン系アーリア人とインド系アーリア人はほぼ同一の宗教を信じていたとみてよいようである

「ヴェーダの宗教」__それを司る神官階級の名称ブラーフマナから日本では「バラモン教」とも表現される

p239~p240
仏陀の出自
ガウタマ・シッダールタの出自が、アーリア人だったか先住民だったかは定かではない。大勢としては、欧米人は「ガウタマはアーリア人だ」と主張し、日本人は「仏陀はモンゴロイドだ」と譲らないと聞くが、

ただ彼が語っとされる言葉の中には、明らかにヴェーダの宗教の内容をよく理解した上での内在的な批判がある。そういう意味では、形質的に金髪碧眼だったかどうかは不明だが、アーリア人の宗教を熟知する環境の中から立ち現れた人物だったようである

p243
インド・イラン人とヨーロッパ人が共通の祖先をもっているとの学説は、18世紀にウィリアム・ジョーンズ(1746~1794)によって唱えられたのを嚆矢とする。
ジョーンズは現地でサンスクリット語を学びそれがギリシャ語、ラテン語、英語、ドイツ語、フランス語などと驚くほどの共通構造をもっていることに気が付いた。彼がその論文を発表した1787年をもって、インド・ヨーロッパ比較言語学が誕生したと考えられている