だからタイは面白い
暮らして分かったタイ人の「素の顔」

高田 胤臣
光文社文庫
2023年

2002年から21年間もタイ在住で妻もタイ人である著者による、面白い内容である。本棚のどこかには光文社のカッパブックスが何冊かあり、「悪魔の飽食」等々とにかく面白い著作をメインとする光文社らしい出版物である。著者によればタイには中間層は存在せず、一握りの富裕層とそれ以外の貧困層に分断されているのがタイ社会の特性だそうである。文化人類学者・社会人類学者の高尚な分析よりも面白い



p21 
富裕層は昔から富裕層以外の人々を奴隷の如く扱い、殺しても刑務所に入ることはまずない

p30 
タイ国家統計局の資料によれば、21年度の世帯収入は全国平均で2万7532バーツ(約11万円)だ。
タイ全土で2万バーツ以上を稼ぐ世帯はわずか11.8%しかない。 
実質的には9割超の国民が平均月収すら稼げていない。これがタイという国の現実だ

p34 
タイでは農民でさえ富裕層の苗字を聞いただけで、どういった家系であるのかを知っている

p39 
タイ人の対外的なイメージは温厚で他人にも優しい。一部事実であるものの、全般的には真逆と言ってよい

p41 
寺院でさえこんな状況なので、なおさら人は金の亡者となり

p41 
共有できるバックボーンが希薄な故の利己主義 
タイは多民族国家で最も多いのはタイ族(正確には,タイ・ノーイ族という)

p46 
タイの富裕層は、ファミリーのきずなが強固なため、逆に外部を一切信用しない傾向がある

p47 
タイでは富裕層と貧困層がくっつく玉の輿、逆玉といったシンデレラストリーは存在しない

p52 
とにかく家族だけが信頼しうる存在だが・・・ 
タイ人は利己主義で欲望に忠実だ。
富裕層
裏では相手を出し抜こうと画策する
そんな社会で信頼・信用できるのは家族だけになる

p58 
仏教がタイに伝来したのは日本よりも遅い。
西暦1300年前後に伝わってきた

p79 
よく日系企業駐在員から「タイ人は挨拶しない」といった不評を聞く。だが、それは単に舐められているだけだ。タイ人は目上にはしっかりとワイ(合掌)して挨拶する

p139 
この国の格差社会は絶対になくならない

p205 
覆すことがほぼ不可能な現在の経済的階級