ルポルタージュ
イスラムに生まれて
知られざる女性たちの私生活

読売新聞中東特派員 著

読売新聞のカイロ・エルサレム・テヘランの各支局長計5名によるイスラム教徒女性へのインタビューを掲載した2017から2020年の読売新聞記事をまとめた著作。私には、イスラム教徒女性の実像が今一つ浮かび上がってこない印象であった。イスラム教では、女性は保護されるべき存在であることが大きく影響している。

一つだけ、言えるのは、本書で描かれている女性は、今日の近代社会とされている国々の女性と比べても、特段厳しい環境にあるわけではないという点である。民族集団として、歴史的に見れば、女性を巡る最も悲惨な状況が1000年以上も続いたのは、中国と朝鮮であり、その背景には儒教がある。特に、悲惨であったのは、朝鮮人女性である。その多くは、奴婢女性であった。

IMG_2028

イスラム教の観点からは、ヘジャブとチャドルは全く意味が無いと強く感じる。
ニカブ・ブルカがイスラム教から見れば正解である。


p104
【イスラム教徒男性と結婚してアンマンに移住して14年が経つ日本人女性】
イスラム教の本質的な教えは相手を敬い、家族を大切にすること。お互いを大切にする文化があって、犯罪も少ない。もちろん、不便なことも多いけど、安全だし、ストレスのない暮らしが出来ている。改宗し移住したことで、居心地の良い生活を手に入れることができたと思っている。  

p107
【同じアンマンに約30年住む、イスラム教徒男性の未亡人】
イスラム教が根付く社会での生活に息苦しさは感じないという。

ヨルダン王家は、シャリーフと呼ばれるムハンマドの娘ファーティマの子孫とされている、イランのホメイニも同様である。だから、「アラブの春」は、ヨルダンには影響がなかった。ヨルダンは、非産油国では、トルコを除く中東諸国の唯一の例外として、政治的・社会的・経済的に極めて安定している。その理由に興味が生じた。

19世紀初頭までの女性を巡る状況は、
キリスト教(一夫一妻制)→イスラム教(一夫多妻制)→仏教→儒教(中国・朝鮮では女性は売買の対象)が決定しているという明白な事実に初めて気付いた。→の順序で女性で女性の社会的地位は低下する。