世界一シンプルな進化論講義
更科 功
講談社ブルーバックス
2025年
p23
「種の起源」を攻撃した人も擁護した人も、その大部分はイングランド国教会の聖職者だったのである。
p74
【シュモクバエという奇妙な目を持つハエに関して生存に不利であるのにこのような形質が集団内において定着した理由として性選択が理由であるとして】

【雄は】雌とハーレムを形成している【ハーレムの主を巡る争いでは】
眼柄の長い雄が勝者となる
著者の方は、離れた目が生存に不利としているが、恐らくは目が離れている度合いが大きいほど、360度広範囲で獲物を発見しやすいと推測され性選択ではなく、通常の自然選択ではなかろうかと?思われる。
この変な昆虫を含めてハーレムを形成するセイウチ等々の動物は、どうやってinbreeding depression を防いで、集団を存続させているのか?少し調べたが、未解明のようである。
集団遺伝学では、random matingを理論上の大前提としている。従って、ハーレム又はそれに近い状態の集団に関する理論上の枠組みは存在しない。例えば、李氏朝鮮時代における両班と奴婢の関係は、10人以上の奴婢女を所有する両班であれば、事実上の小規模なハーレムである、しかも、意図せざる近親相姦即ち同父異母者同士の交配が極めて生じやすいことは100%間違いない。そして、近親相姦、近親交配の影響が形質面で、最も強く、かつ、確実に出るのが、ヒトの知能であり、韓国人という非同義変異比率が他の民族集団よりも少なくとも10%以上も多い、その意味における完全なるDNA異常集団は、次の結果を示しているのである。特に、最後のデータは決定的であり、李氏朝鮮時代の近親相姦の影響であろう。


p82
アフリカのサバンナの地下にトンネルを掘って棲んでいるハダカデバネズミは群れの中に階級がることで知られている。子を産むことができる「女王ネズミ」と女王ネズミと交尾する「王様ネズミ」
女王ネズミは一匹、王様ネズミ数匹
他は全て働きネズミである。どう考えても自らを犠牲にして種のために尽くしているとしか思えない
ハダカデバネズミの行動は【血縁係数は出てはこないが実質的には同じ説明をした後】血縁関係だけで全て説明できるものではない
p105
奇妙なタリーモンスター
【現時点で、分類不能な古生物、下記は英文ウキペディアから
Tullimonstrum, colloquially known as the Tully monster or sometimes Tully's monster, is an extinct genus of soft-bodied bilaterian marine animal that lived in shallow tropical coastal waters of muddy estuaries during the Pennsylvanian, about 310 million years ago.
化石からの想像図

私には、信じがたい!なんとも奇妙な生物であるが、化石からの想像図である。
p164
精子と卵が受精すると受精卵という一つの細胞になる。しかし、この段階の受精卵には、まだ精子に由来する核(雄性前核)と卵に由来する核(雌性前核)が別々に残っている。つまり、核が二つ存在しているのである
【実験として、雄性前核2又は雌性前核2のみでは受精卵は細胞分裂しない旨】
受精卵は雄性前核と雌性前核の両方がないと正常に発生できないのだ
雄性前核も雌性前核も塩基配列以外の情報を持っており、そこに違いがあるということだろう。
つまりエピジェネティックな違いがあるということだ
p167
この予想が正しかったことが現在では確認されている。一部の遺伝子では雄性前核と雌性前核で、メチル化のパターンが異なっていたのである。この様な遺伝子をゲノムインプリティング遺伝子と言い、哺乳類で100個ほどが同定されている。ゲノムインプリティング遺伝子では、片方の親からきた遺伝子がメチル化されているため、その遺伝子は発現できない。
受精する前の精子と卵子はかなりメチル化されているが、受精直後に両者の、DNAのメチル化は、、ほとんど消去される。しかし、一部の、遺伝子では、DNAのメチル化が消去されずに保存され、これが雄性前核と雌性前核の違いとなる。そして。その後の細胞分裂においても、このメチル化のパターンは維持されていくのである。つまり、一部のエピジェネティックスは世代を超えて受け継がれるということだ。
p182
つまり、自分の遺伝子をたくさん残すためには、配偶相手に赤の他人より兄弟姉妹を選んだ方が良いことになる。
p83
あまりに人口が少ないと配偶相手がなかなか見つからず苦労することになる。しかし、兄弟姉妹のような家族を配偶相手に選べば、一緒にからしていることも多いので、見つけるのに苦労することも少ない。
従って、ヒトでは近親交配を、好むような進化がおこるはずである。
ドーキンスの利己的な遺伝子という考え方を突き詰めれば、まさにそのとおりである。ネタ元の著作を知りたい。しかし、近親交配による弊害があまりにも大きい。
p184
カルロス2世は4歳で王位に就いたが、幾つもの先天的な異常を持っていた。顎が大き過ぎて上手く咀嚼出来ず、いつもよだれを垂らしていて、ハッキリと喋ることも出来なかった。8歳になるまで歩くことが出来ず、正規の教育を受けることも能力的に難しかった。常に下痢と嘔吐に苦しめられ、30歳の頃には、既に老人のようだったらしい。しかし、最大の問題はカルロス2世に後継を作る能力がないことだった。
【族内婚を原則としていたハプスブルク家】
近親交配の果てに生まれたカルロス2世は、兄弟姉妹の間に生まれた子よりもさらに近親交配の度合いの強い遺伝的構成を持っていたと推測されている。
p186
有害な遺伝子が顕性の場合と潜性の場合に分けて考えてみよう。
有害な遺伝子は潜性対立遺伝子の形で存在していることが多いのである。
通常、有害な遺伝子は潜性なので、片方の親から受け継いでも表現型には現れない。しかし、両親から受け継ぐと、生まれた子は有害な遺伝子についてホモ接合体になり、
p187
2つの説を紹介した。、一つは「近親交配すると自分の遺伝子をより多く増やすことが出来る。だから、近親交配が増えるように進化するはずた。」という説で、もう一つは、「近親交配すると、有害な遺伝子の効果が表現型に現れやすくなる。だから、近親交配が減るように進化するはずだ」という説だった。この説は両方とも正しい。近親交配には良い面もあれば、悪い面もある。そのどちらが強く影響するかは条件によってことなる。つまり、生物毎に異なる。だから、近親交配を好む生物もいれば、近親交配を避ける生物もいるのである。
著者は、究極の近親交配である植物における自家受粉に言及した後に、例えば、トマトは自家受精するが、水ナスは自家受粉しないので人工的に受粉している旨等々を書いた後に、ヒトを含めて全ての哺乳類では近親交配集団は、最終的には集団消滅をつながるので近親交配を避けようとする本能があることを書くべきであったように感じる。
更科 功
講談社ブルーバックス
2025年
古生物学を専門とする方によるタイトル通りの分かりやすい解説書である。唯一の欠点はアメリカでは進化論を否定する者の比率が異様なまでに多いという点に一切触れられていない点である。
p23
「種の起源」を攻撃した人も擁護した人も、その大部分はイングランド国教会の聖職者だったのである。
p74
【シュモクバエという奇妙な目を持つハエに関して生存に不利であるのにこのような形質が集団内において定着した理由として性選択が理由であるとして】

【雄は】雌とハーレムを形成している【ハーレムの主を巡る争いでは】
眼柄の長い雄が勝者となる
著者の方は、離れた目が生存に不利としているが、恐らくは目が離れている度合いが大きいほど、360度広範囲で獲物を発見しやすいと推測され性選択ではなく、通常の自然選択ではなかろうかと?思われる。
この変な昆虫を含めてハーレムを形成するセイウチ等々の動物は、どうやってinbreeding depression を防いで、集団を存続させているのか?少し調べたが、未解明のようである。
集団遺伝学では、random matingを理論上の大前提としている。従って、ハーレム又はそれに近い状態の集団に関する理論上の枠組みは存在しない。例えば、李氏朝鮮時代における両班と奴婢の関係は、10人以上の奴婢女を所有する両班であれば、事実上の小規模なハーレムである、しかも、意図せざる近親相姦即ち同父異母者同士の交配が極めて生じやすいことは100%間違いない。そして、近親相姦、近親交配の影響が形質面で、最も強く、かつ、確実に出るのが、ヒトの知能であり、韓国人という非同義変異比率が他の民族集団よりも少なくとも10%以上も多い、その意味における完全なるDNA異常集団は、次の結果を示しているのである。特に、最後のデータは決定的であり、李氏朝鮮時代の近親相姦の影響であろう。


p82
アフリカのサバンナの地下にトンネルを掘って棲んでいるハダカデバネズミは群れの中に階級がることで知られている。子を産むことができる「女王ネズミ」と女王ネズミと交尾する「王様ネズミ」
女王ネズミは一匹、王様ネズミ数匹
他は全て働きネズミである。どう考えても自らを犠牲にして種のために尽くしているとしか思えない
ハダカデバネズミの行動は【血縁係数は出てはこないが実質的には同じ説明をした後】血縁関係だけで全て説明できるものではない
p105
奇妙なタリーモンスター
【現時点で、分類不能な古生物、下記は英文ウキペディアから
Tullimonstrum, colloquially known as the Tully monster or sometimes Tully's monster, is an extinct genus of soft-bodied bilaterian marine animal that lived in shallow tropical coastal waters of muddy estuaries during the Pennsylvanian, about 310 million years ago.
化石からの想像図

私には、信じがたい!なんとも奇妙な生物であるが、化石からの想像図である。
p164
精子と卵が受精すると受精卵という一つの細胞になる。しかし、この段階の受精卵には、まだ精子に由来する核(雄性前核)と卵に由来する核(雌性前核)が別々に残っている。つまり、核が二つ存在しているのである
【実験として、雄性前核2又は雌性前核2のみでは受精卵は細胞分裂しない旨】
受精卵は雄性前核と雌性前核の両方がないと正常に発生できないのだ
雄性前核も雌性前核も塩基配列以外の情報を持っており、そこに違いがあるということだろう。
つまりエピジェネティックな違いがあるということだ
p167
この予想が正しかったことが現在では確認されている。一部の遺伝子では雄性前核と雌性前核で、メチル化のパターンが異なっていたのである。この様な遺伝子をゲノムインプリティング遺伝子と言い、哺乳類で100個ほどが同定されている。ゲノムインプリティング遺伝子では、片方の親からきた遺伝子がメチル化されているため、その遺伝子は発現できない。
受精する前の精子と卵子はかなりメチル化されているが、受精直後に両者の、DNAのメチル化は、、ほとんど消去される。しかし、一部の、遺伝子では、DNAのメチル化が消去されずに保存され、これが雄性前核と雌性前核の違いとなる。そして。その後の細胞分裂においても、このメチル化のパターンは維持されていくのである。つまり、一部のエピジェネティックスは世代を超えて受け継がれるということだ。
p182
つまり、自分の遺伝子をたくさん残すためには、配偶相手に赤の他人より兄弟姉妹を選んだ方が良いことになる。
p83
あまりに人口が少ないと配偶相手がなかなか見つからず苦労することになる。しかし、兄弟姉妹のような家族を配偶相手に選べば、一緒にからしていることも多いので、見つけるのに苦労することも少ない。
従って、ヒトでは近親交配を、好むような進化がおこるはずである。
ドーキンスの利己的な遺伝子という考え方を突き詰めれば、まさにそのとおりである。ネタ元の著作を知りたい。しかし、近親交配による弊害があまりにも大きい。
p184
カルロス2世は4歳で王位に就いたが、幾つもの先天的な異常を持っていた。顎が大き過ぎて上手く咀嚼出来ず、いつもよだれを垂らしていて、ハッキリと喋ることも出来なかった。8歳になるまで歩くことが出来ず、正規の教育を受けることも能力的に難しかった。常に下痢と嘔吐に苦しめられ、30歳の頃には、既に老人のようだったらしい。しかし、最大の問題はカルロス2世に後継を作る能力がないことだった。
【族内婚を原則としていたハプスブルク家】
近親交配の果てに生まれたカルロス2世は、兄弟姉妹の間に生まれた子よりもさらに近親交配の度合いの強い遺伝的構成を持っていたと推測されている。
p186
有害な遺伝子が顕性の場合と潜性の場合に分けて考えてみよう。
有害な遺伝子は潜性対立遺伝子の形で存在していることが多いのである。
通常、有害な遺伝子は潜性なので、片方の親から受け継いでも表現型には現れない。しかし、両親から受け継ぐと、生まれた子は有害な遺伝子についてホモ接合体になり、
p187
2つの説を紹介した。、一つは「近親交配すると自分の遺伝子をより多く増やすことが出来る。だから、近親交配が増えるように進化するはずた。」という説で、もう一つは、「近親交配すると、有害な遺伝子の効果が表現型に現れやすくなる。だから、近親交配が減るように進化するはずだ」という説だった。この説は両方とも正しい。近親交配には良い面もあれば、悪い面もある。そのどちらが強く影響するかは条件によってことなる。つまり、生物毎に異なる。だから、近親交配を好む生物もいれば、近親交配を避ける生物もいるのである。
著者は、究極の近親交配である植物における自家受粉に言及した後に、例えば、トマトは自家受精するが、水ナスは自家受粉しないので人工的に受粉している旨等々を書いた後に、ヒトを含めて全ての哺乳類では近親交配集団は、最終的には集団消滅をつながるので近親交配を避けようとする本能があることを書くべきであったように感じる。
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