私の脳科学講義
利根川進
岩波新書
2001年

p26
抗体は、白血球の一種であるB細胞(Bリンパ球)が作ります。
抗体は
Y字型の立体構造をとっているのです。抗体分子は全てこういうY字型をしています。
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p27
病原菌や分子への抗体の結合が、それらを体から排除するための重要な第一ステップ
身体の外から入ってくるものを抗原と呼んでいますが、抗原と抗体がまずがっちりと反応しないと、免疫のプロセスが始まりません。抗原と抗体はいわば鍵と鍵穴の関係になっていて、鍵つまり抗原の種類が非常に多いと、鍵穴つまり抗体の方も多くの物を揃えておかないと、ドアが開かないということになるのです。

p28
少なくとも100億以上の抗体を作る能力を備えておかないと、抗原の侵入に対処できないということがわかってきています。

p29
3万個の遺伝子のうち、抗体用にはほんの一部しか使えないのです。
ゴットのミステリー
と名付けられた免疫学上の最大のジレンマだったのです。

p33
抗体遺伝子に限って、ものすごい速度で、親から受け継いだ限られた数の遺伝子に、変異が入って行くのです。

親から受け継いだ1000個程度の抗体遺伝子
これを急速に変化させることによって、100億以上の抗原に対処していることがわかったのです。
原理
Bリンパ球は、幹細胞という細胞が増殖してできてくるのですか、増殖の過程でいわゆるD NAの組み換えという現象を使って、それぞれのBリンパ球が違う抗体遺伝子を発現しています。
鍵と鍵穴の関係で、抗原の構造にピタリと合う抗体を表面にくっつけているBリンパ球のみが、選択的に増殖してきます。他の細胞は増殖しません。つまり、抗原を環境と見做して、環境に選ばせるのです。
免疫系は二段構えで変異と選択を行なっています。

p35
いったん、抗原が決まると、次に高速な突然変異に入るメカニズムが活性化されます。その結果、さらに色々な変異株が出来てきて、前よりも更に構造がピタリと合う抗体を産生するBリンパ球のみが、また抗原による選択で特異的に増殖してくるのです。

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p84
NMDA受容体

遺伝子名では、
Nmdar1
NMDA receptor 1 [ Drosophila melanogaster (fruit fly) ]