アドルフ・ヒトラーの血族 独裁者の隠れた血筋 
ヴォルフガング・シュトラール 畔上 司 訳
草思社 
2006年

著者はジャーナリストであり研究者ではない。著者によれば
①ヒトラーは、DNA=家系から見れば、チェコ国境に近いオーストラリアの近親婚が蔓延していた地方のDNAを有している。このため、ヒトラーには近親婚を忌避する傾向が全く見られない
②ヒトラーの両親は5親等の関係(遺伝学では2C即ち通常ならdouble cousinをもって近親婚と定義していることすら著者は知らない)、又は、状況証拠は3親等の関係にある
③ヒトラーという人物の家系(分析?)が、ヒトラーを生み出したのだ!というのが、著者は明言を避けているものの、結論である。要するに、ヒトラーは、近親婚蔓延地域に祖先を有し、自身も近親婚に何ら疑問を有さず、遺伝的に見て正常でない!と主張しているに等しい。


表紙見開き左右頁
ヒトラーと同一のY染色体を有する者が現在もアメリカに4名存在している。従って、これら4名の全ゲノムシーケンス分析でヒトラーについてもある程度わかるが、同父異母の子孫である

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愛称ゲリは同父異母の姪にあたる。ヒトラーはこの女性を好み結婚したがっていたとしている(P107)
ゲリは若くして自殺している


p6
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p21
著者は家系図通りヒトラーの両親は5親等としているが、手紙の内容では3親等としており、相違する

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p33
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p38

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p71
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このジャーナリストの調べが正しいのであれば、ヒトラーの出身地は、遺伝的には特異な集団であろう。しかし、その後の交配により現在は問題ないはずである。私には、朝鮮半島全域で7000万を超える集団は、アメリカ食品医薬品局論文の内容及び掲載データと5000名を超える朝鮮人全ゲノムから見て、
ヒトラーの出身地と似た状況に思える。だからこそ、北朝鮮という異常国家が出来、韓国という病身国家が生成されてしまったのである。異なるのは、近親婚蔓延が生じた時点であり、朝鮮半島では9世紀~13世紀半ばまでであり、現在は正常化の過程にあるものの完了していないことは、アメリカ食品医薬品局論文の内容及び掲載データから見て確実である

p107
この記述が真実であれば、ヒトラーは近親婚が蔓延していたオーストリアの閉鎖的な集団のDNAである

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