日本語の源流を求めて
大野晋
岩波新書
2007年

大野氏が日本語の起源としてのタミル語を主張されていることは以前から知ってはいたが、その著作を読んだことはなかったので読んでみた。詳しく書かれた対応語の内容は精査していないものの、日本語とタミル語が音韻対応関係にあるとは言えないとの印象が強い。

しかし、長い間研究を行ってきた専門の国語学者の主張であるからして、タミル語と日本語が極めて類似した言語であることは100%確実である。だからとって、大野氏の稲作、タミル起源説は、完全な荒唐無稽以外の何ものでおない

問題は、その類似が単なる偶然に過ぎないことを統計的に示せばいいだけなのであるが、国語学者は統計処理が苦手なようである。

p30
18世紀の終わり頃、インドのサンスクリット語とギリシャ語、ラテン語とが文法上非常に類似した体系を持ち、単語にも同一の形をしたものがあることが発見されて人々を驚かさせた

p33
多くの研究者が日本語・朝鮮語にわたって探索に努めたが、人々を納得させるほどの対応語を見出すことはできなかった。

日本語もアルタイ諸語に対応する単語を持たない。それ故、日本語をアルタイ系の一つに付け加えることは適当とは考えられない

p36
北九州の縄文人は、タミルから到来した水田稲作・鉄・機織の大文明に直面し、それを受け入れるとともに、タミル語の単語と文法とを学び取っていった

p102
水田稲作は南インドから